『ハイラーキーの出現』輪読第34回
第三章 人類の進化過程の背後にある勢力
差し迫った重大な決定
1941年12月
人類の決意と内的な目的は、12月25日から1942年6 月22日までに非常に明確になり、その結果、今後数百年間の人類の未来が決定されるであろう。その決定から、来るべき新時代が始まる。
ハイラーキーは予測をたて、どのような行動を起こすか決めることができる。ゆえに、その決定を見れば、大衆の進化段階がわかるという。
「力強く未来に立ち向かい、マインドをあらゆる疑念の痕跡から解放し、物質主義と残虐性の勢力が勝利することはない」(p435)
ということを知るように促したい。
「ハイラーキーは立っている。確信を持って前進しなさい。」(p435)
二つのオカルト的なマントラムの二つのスタンザが発表されたのは、建設的な傾向を与え、祈願したエネルギーを集中させることが必要だったからである、と言う。
最初のマントラムは、それに十分な反応を示した熱誠家たちの焦点を当てるのに役に立ち、二番目のマントラムも大衆に提供されたが、一種のテストになるよう、そして「危機の時代における決断」になるよう意図されたため、メンタル的に集中した熱誠家や弟子たちに訴えかけることになった。
二つの大祈願のうち、一つは、聖所からの騎手に祈願し、彼を喚起するのに役立つ。もう一つは、解放の主方に祈願するものである。
人間の様々な意識レベルからの祈願を混ぜ合わせ、呼びかけを一致団結させることで、「救いの力」の秘められた中心に影響を及ぼすほどの力強い訴えかけになる。この統一した訴えかけこそが、今団結して行わなければならない事である。
そうすることで、大勢の人々が刺激を受けて、光の中へと前進し、アクエリアス時代に始まる新しい世界周期が人類自身によって明確に始動される。
勝利への唯一の道
1942年4月
大師は1919年11月以降、アリス・ベイリーと共に働いてきた。その間の最も重要な変化の一つは、霊的な知覚の驚くべき成長であったという。
世界的な破局が起こり、恐怖がはびこり、悪が私たちの惑星を闊歩し、苦痛と恐怖と不安と不確かさを人間が感じてきたにも関わらず、今日、人間の意識の中には二つの様相があることを示している。
それは、よりよい未来へのヴィジョンとそのヴィジョンを人類の経験における事実にしようという確固とした普遍の決意である。
人間は、あらゆる対立勢力に直面してもなお、次の事を認識できるようになった。
・神の王国が地上で機能しなければならない
・それが外的に顕現しなければならない
・それは願望的思考の彼方にある必要はなく、人間の日常生活を条件付け、将来に向けた計画の全てを支配すべきである
そのヴィジョンは様々な名称で呼ばれているが、向上、普遍的な反映、全般的な安全保障、人種や肌の色や信条を問わない幅広い機会、というテーマが重要である。
最終的な勝利に向かっているのにも関わらず、悪の力は思い通りに事を進めてきた。これは当初から予想できたことである。なぜなら、悪が単に物質による支配、霊的な価値観の否定であるとすれば、悪の最も抵抗の少ないのは物質界だからである。
世界の霊的な考え方をする人々、善意の人々、理想主義者、至るところにいる親切で善良な民衆が、悪の勢力が示したような一つにまとまった決意と勝利への一致団結した意志を物質界において発揮できるようになった時、そのとき、光の勢力は優位に立ち、人間に関する所持を統御するようになる。
古代からの対立が再燃しており、人類は今、その対立にきっぱりと決着をつけ、これまで知られていないような意味で、自由になる機会を手にしている。
この争いは三つの段階に分かれる。
1 私たちが今関与しており、逃れることのできない物理的な戦闘の段階。
これには勝利しようという意志が必要である。
2 戦争が終わった時に世界情勢を立て直す段階。これは、二つの局面に分かれる。
a 長期休戦中に正しい人間関係を確立すること。
b 復興の仕事。
これには善をなさんと言う意志が必要である。
3 平和を構築する機会、安全保障の正しい活用法、あらゆる土地の若者たちに新時代の原則を教える計画的な脅威などが認識される段階。
これには、組織しようという意志が必要である。
人間生活の三つのレベルすべてにおいて、人類は真、善、美へと向かう傾向に条件づけられる。秘教的に言うと、人類のパーソナリティは統合され、良い暮らしや新しいより良い方法へと方向転換する。これらの目標を達成するよう、大師は、わたしたちに呼びかけているのであるという。
常に心に留めておくことがある、と大師は言い、欲求と意志についての説明を展開する。
戦争が終わり、辛い時期が終わりを告げるとき、大きな霊的な目覚めが訪れる。人類は戦争から多くの教訓を学び、多くの人々の目から自我の覆いが剥ぎとられていく。これまでは、「目を神に向けた」人々だけが表現し理解してきた価値が、膨大な数の人々の目標になり欲求になっていく。人々の間で、国家間で真の理解を培うことが望ましい目標になる。
人類は常に、獲得しようと決意するものを獲得することに成功する。これはオカルトの法則であるという。それは、欲求が今のところ世界で最も強力なフォースだからである。
欲求に上手く対抗できる唯一の要素は意志である。大師は、この言葉をその霊的な意味合いで、神の偉大な第一様相を表すものとして使っている。
しかし、連合国側はこれまで霊的な意志をわずかしか使ってこなかった。勝利への欲求や世界的な破局が終わって欲しいという欲求は、たいていの場合、確固とした結束した欲求の表現に過ぎず、意志の使用ではない。
意志を使う秘訣は、人間の神聖な特質を認識することにある。人間のマインドを支配しパーソナリティを統御する魂によって喚起されなければならない。意志を使う秘訣は、善は不屈であり、最後には必ず善が勝つという認識にも密接に結びついている。
勝利の流れを引き寄せる、それ以上のものもあるが、それは、霊的な意志の特質を理解し表現しようとすることによってもたらされる。意識と力と言う神の第一様相をその通りのものにするエネルギーの顕現である。
二千年を経ても、このシャンバラのフォースとの接続は細くてもろい。意志のフォースを正しく使用する能力は、理解することと、グループでしようとすることに依存している。
人類は愛の意味を理解するのにかなり苦労してきたように、意志に関連した問題を理解するのは一層困難である。愛は同胞の幸せにつながる活動や関係を決して妨害することなく義務を遂行したいという欲求として実現する。それは、虐待を終わらせ、世界を物質的により幸せな状態にしたいという欲求として表現される。それは、母親の愛、友人同士の愛として示されるが、今のところグループ同士や国家同士の愛として示されることは滅多にない。真の愛が表現されたことは、キリストを除いて、これまで一度もなかった。
シャンバラのエネルギーとは、人類の意識と形態を通して表現される生き生きとした様に関連している。それは正しい人間関係の確立に関係しており、いずれ師の力を打ち消すことになる存在状態である。それは刺激であって衝動ではない。それは認識された目的であって、欲求の表現ではない。
欲求は、物質形態から始まり、物質形態を通して上に向かって働く。意志は、形態へと下に向かって働き、形態を意識的に神の目的に従わせる。
一方は祈願的であり、他方は喚起的である。
欲求が一丸となって集中されたとき、それは意志に呼びかけることができる。
意志が喚起されたとき、それは欲求を終わらせ、内在する推進的な原動力になり、安定させ、浄化し、最終的には破壊する。
正しい人間関係を確立するために、魂の光の中に集中させ、光の持つ目的に捧げなければならないのは、こうした意志である。
人間の生命の自由な流れを妨げ、人類に霊的な、そして現実の死をもたらしているすべてのものを破壊するために、愛をもってそれを使用しなければならない。
このように意志に祈願して、喚起しなければならない。
意志のフォースは二つの大きな不利な条件によって、その真の性質の自由な表現が妨げられている。
一つは、低位性質がその衝撃に対して敏感なことである。それは、利己的な目的に悪用されたり、物質的な目的に利用されたりしている。
二つ目は、世界の善良な人々に見られる抵抗である。その抵抗は遮断し、妨害する働きをし、混乱しているが、一丸となったものである。彼らは、愛については漠然と美しく語るが、実際に働いている神の意志のテクニックについて考えることは拒否する。神がいつも人々を通して愛を表現しようとしているのと同様に、神は人々を通して意志を遂行するということを、彼らは認識しようとしない。
意志のエネルギーが喚起され、準備のできていない物質主義的な考え方をする人にその影響が及んだ場合には、災難になるかもしれず、それは、単に、低位の自己意志を集中し強めるのに役立つだけであるという。自己意志と言うのは、認識されている確固とした欲求につけられた名前である。そのようになったとき、利己的な目的に利用され非常に大きな推進力を生み出すことが可能になり、その人物は悪意の怪物になってしまう場合もある。
そうした人物の古代における例はネロであり、現代における例はヒトラーである。しかし、後者が危険極まりない敵になった理由は、人類が、この第一光線のフォースのいくつかの様相に感応できる段階にまで進歩を遂げたからである。そのためヒトラーは、自分に加勢して感受性を増大させてくれる仲間や協力者たちを見つけることができ、その結果、グループ全体が破壊的なエネルギーに感応する媒介になり、その最低様相を表現するようになった。
シャンバラのフォースに感応するこの集中した悪の意志を克服できる方法が一つだけある。
それは、同じくらい集中した霊的な意志によって対抗するという方法である。この霊的な意志を発揮するのは、この流入する新しいタイプのエネルギーに対して敏感になるよう自らを訓練できると共に、そのエネルギーに祈願し喚起する方法を学ぶこともできる、感受性の強い善意の人々である。
親切や好意だけでなく、集中した善をなさんという意志は、シャンバラのエネルギーを喚起でき、また喚起しなければならないものであり、悪の勢力を阻止するために使用されなければならない。