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アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ

乾季のクスコは、昼間はタンクトップでも歩けるのに、朝夕はかなり寒い。
もしかするとホステルで一番良い部屋だったかもしれないが、ヒーターは壊れていた。
初日からとなりのベッドのブランケットを重ねて寝ている。(重たい・・)

朝4時。起き上がってシャワーを浴びる。
寒くても、眠くても、出かけるとなると、ちゃんと目覚める。
どこかへ行く日に寝坊したのは、人生で2回くらいしかない。いや、1回だけかも。

既にパッキングができているので、5時半のピックアップには、十分に時間がある。
靴も履き、準備万端整えて時間までベッドに横たわる。
あたりはまだ真っ暗だ。

ん・・・。どうもパッキングが気に入らない。インカ・トレイルのために新しく購入したバックパックだったが、3泊4日には小さすぎたかも。
トレイルでは、昼間は真夏のごとく暑く、夜は0℃近く温度が下がるらしい。なんと言っても標高3,000mのところでキャンプするのだ。4日分の衣服が嵩む。

3泊4日もかけて山を歩くのは、実は初めてのこと。しかも、人生の最高地点を通り抜ける。前日までの頭痛も不安要素のひとつ。慣れない一眼レフのカメラも持っていく。

“ポーターに頼んでしまえ!”
インカ・トレイルのツアーは、どのツアー会社に頼んでも皆仕組みは同じ。1グループにポーターが10人近く付く。彼らがテントや食糧、その他もろもろを運んでくれる。オプションで、個人の荷物も運んでくれるのである。山歩きなのに、実は、ラグジュアリなツアーなのだ。

出発直前に、ポーターに荷物を持ってもらうことに決めた。
急遽パッキング変更。小さなバックパックを出動させ、身の回りのものだけは自分で背負って行くのだ。

朝食を済ませ、5時半。前日にオリエンテーションに来たガイドさん、ホアンがピックアップに来た。いよいよ出発だ!

ツアーのメンバーは、私を入れて8人。私とドイツ人のカップル、スザナとサーシャ以外は、アメリカンだ。小学校の体育の先生エイミーとITエンジニア、グレンのカップル、ミネアポリスで警察官をしている姉アリソンと医学生で南米旅行中の弟カール、そして、転職前のつかの間の休暇中、山男マーク。大型バスには、既に我らがポーター9名が乗り込んでいた。そして、ガイドのホアン。総勢18名がツアー・クルーだ!

バスがクスコの中心地から離れると、その景色は一転する。
カラカラな土を固めた古い家が立ち並ぶ。急斜面でもかまわず建っている。
下水はどうなっているのだろう。
そう思わずにはいられない。

道端のところどころにゴミの山がある。
不法投棄があとをたたない日本ではあるが、それでも、日本では決して見ることのないゴミの山が、道中何度となく現れる。町や村の周辺だけではあるが。

あたりは既にさわやかな朝を向かえ、空は今日も抜けるように青い。
クスコを囲む稜線が目線に並び、その向こうには青い空を背景に雪山が美しく輝いていた。
私たちは、82km地点と呼ばれる、インカ・トレイルの登山口へと向かっている。

アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ_f0053026_13565371.jpg途中、オリャンタイタンボという可愛い町(村?)に止まる。
クスコから車で約2時間ほどのところにあるこの町は、聖なる谷と呼ばれる遺跡群エリアのひとつ。インカ時代の遺跡がある。

クスコより標高が低いため、日本のツアーなどは、マチュピチュへ行く前の最初の宿泊地として、ここを選んでいるようだ。また、クスコからローカルのバスを乗り継いだり、歩いたりしてマチュピチュへ向かうトラベラー達もここで一泊したりする。クスコから日帰りで、遺跡を見に来る人々もいる。

アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ_f0053026_13574317.jpg町の道路はほとんど石畳。バスはかなりガタゴトしながら町の中心の広場へと向かう。ホステルやカフェはきれいっぽく、こ洒落た感じのカフェが結構ある(ように見える)。

この町にステイするのも悪くないかもね・・・

欧米人らしいトラベラー達が、アウトサイドカフェでゆったりとブレックファーストをとっていた。
このゆったり感。日本のツアーにはないかも・・・。

ツーリストとトラベラーの違いかぁ。

私たちは、最後の買い物とトイレ休憩ため、20分ほど時間をとった。町(村?)の中は、細い石畳の道が碁盤の目のようになっていた。雰囲気のある路地には心魅かれる。路地の写真を撮る。アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ_f0053026_13581566.jpg


オリャンタイタンボから、40分くらいだっただろうか。ピスカチュチョ村、82km地点。バスの旅はここで終わり。ここからトレッキングが始まる。

太陽は既に高く昇り、陽は容赦なく照りつける。
ジャケットやフリースを脱ぎ、シャツ一枚になる。サンスクリーンを決して忘れてはならない。インカは太陽の帝国。ペルーの日差しはものすごく強い。

クスコからマチュピチュまでの電車は、クスコの北側を流れており、マチュピチュのそばを経由し、さらに北へ下り、いずれアマゾン河に合流するというウルバンバ川に沿っている。
ここピスカチュチョはその途中に位置し、小さな駅がある。踏み切りも何もない線路を渡って川沿いにいくのだが、その線路脇に、インカ・トレイル入り口のサインがあった。

“これだ!”

ひとりでペルーに行かなければならない雲行きになってきた時、実は、日本からのツアーも探してみた。インカ・トレイル+マチュピチュ+リマ+ナスカ(オプション)というツアーはあることにはあった。そのひとつに、“昨年のツアー”とキャプションの付いたグループ写真を見た。どこかの看板の前で、団塊世代のお姉さま方、お兄さま方が、スマイルで“おーっ”と手を挙げて写っていた。アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ_f0053026_1474815.jpg

“いやーぁ、これちょっと違うだろう。この中じゃ、私、可哀想くない??”
ツアー代もなかなかのもの。そうして、日本のインカ・トレイル ・ツアーから引いたものだった。

まさに、その看板の前で、私も“おーっ”って、やりそうだった。幸い、まだツアーメンバーの団結もできていなかったので、ひとり写真。いずれにしても、ここでの写真は、ミスれない。

アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ_f0053026_13595172.jpg線路とウルバンバ川の間に、82km地点インカ・トレイル入り口のチェックポイントがある。
インカ・トレイルのルートは、入山制限がある。現在、毎日500人しか入れないそうだ。だから、インカ・トレイルを歩くのであれば数ヶ月前からの予約が必要になる。

ポーターはツーリストの数より多い場合も多いので、一説によると、ツアー参加者200名、ポーター300名で、一日500名なのではないか・・ということ。
あらかじめ登録していたパスポート番号とパスポートをチェックする。行けなくなったから代わりに誰か・・は、通用しない。

アンデスの旅 その4:カミノ・インカヘ_f0053026_143319.jpg1日20組前後のツアーグループがここを通過する計算になる。ここで列を待っている間に、ツアーメンバー同士の自己紹介も進み、メンバー意識が形成されていく。ポーター達は、私達と話すこともなく、ポーター専用のチェックデスクを抜け、重い荷物を背負い、私達とは別に、どんどん歩き始める。ポーターのほとんどはサンダル。この時点においては、誰が自分のツアーのポーターかよくわからない。それぐらい大勢のポーター達が、私達ツーリストとともに山を越えていくのである。

1日目10:30am。相変わらずの抜けるような青空と輝く陽の光のもと、ウルバンバ川をつり橋で渡り、いよいよインカ・トレイルに入る!


to be continued…
by phytobalance | 2009-10-26 14:31 | 旅・Journey