規定9
次に凝縮が起こる。火と水が出会い、形態は膨張し成長する。魔術師は自らの形態を適切な道に置かなければならない。
この規定は、『宇宙の火』に書かれており、以下の注釈もついているそうだ。
「欲求とマインドを純粋にし、むらのないものにし、創造された形態を正しくバランスのとれたものにしなさい。そうすることで、破壊の道つまり「左手の道」に引きつけられることは不可能になる。」(上p304)
ここで強調されていることは「純粋」さ、とのことで、規定9の章の小見出しの一つは、
純粋さの必要性
である。
何が純粋であるべきなのか、というと「動機」である。
動機がパーソナリティの欲求に基づくものであれば、その行動は不純に特徴付けられると。
衝動が形態内から発せられるのであれば、それは形態によって支配され、その純粋さが形態を支えるグループ内に限定される。
「というのは、絶対的な純粋さは支配からの完全な自由が達成されたときだけに存在するものだからである。」(上p305)
であるから、実は、私たちは、コーザル体からの支配から解放されるまで、真の純粋さを理解できないのだそうだ。(残念だが・・・)
コーザル体とは、「魂の蓮華」とも呼ばれるものだが、肉体、アストラル、メンタルの原子が、いずれそれら三界が昇華され消えた時に、その原子を集積する器と成る。しかし、いずれコーザル体も消えた時に、人は三界から自由になるのである。
ということで、真の純粋さを動機に持つことは、多くの者にとっては不可能に近い。なので、
「大多数の人々にとっては肉体的な純粋さと情緒的な純粋さが目標である。」(上p305)
「欲求性質全体を常に方向転換させて、それをマインドの習慣的な状態になるようにする過程が、一切の変性過程と効果的な魔術の仕事を行う鍵・・」(上p306)
なのだそうだ。
なぜなのか。
それは、
「動機の純粋さがマインドの習慣になる迄は、「左手の道」に向かう傾向が常に存在する・・・」
(上p306)
からである。
左手の道とは何か、それは、ダークサイド、と言えば、その意味するところが何であれ、大体イメージはつかめるのではないかと思う。
左手の道とは、下に向かうエネルギーで、私たちをより物質的に、より利己的に導く、大計画とは真逆の方向性である。
火と水が出会い、形態は膨張し、成長する。
「メンタル界において、一つのアイディアが形態をまとう。欲求の界層において、感覚のエネルギーがその形態に充満する。進化過程のもとで、その形態は「膨張し成長する」。形態を正しく方向づけること、そして必要な方向に位置付けることを通して、思考者の目的は成就する。」(上p310)
ここでもう一度、ホワイトマジックの、そして、秘教の教えの目的を確認したい。
私たちの存在目的とでも言おうか。
アイディアとは、その源は、すべて、大計画の遂行のための一つの行為である。
なぜなら、私たち人類(すべての生命体?多分)は、進化の法則の中で存在するからだ。
私たちは皆、大計画(進化)を遂行する役割を担っているのだ。
そのアイディアは、メンタル界で形態を得て、アストラル界において、例えばそのアイディアを実現したい!とか、広めたい!などの欲求のエネルギーを強く得て、アイディアの顕現へと導かれるのである。
そうして、形態を膨張させるのであるが、このエネルギーは必要である。
でないと、何事をも実現しない。
しかし、魂とのつながりができていなければ、アイディアが、メンタル界、アストラル界を通過し、そして、最後に物質界に現れる時に、その目的の純粋さは、濁り、色がつき、または、利己的になり、大計画の一部であるはずなのに、適切な形態で顕現しないのである。
場合によっては、だが、ただ、左手の道へと導くものとなってしまい、ホワイトマジックのエッセンスが、ブラックマジックとなってしまうのである。
『ホワイトマジック』は、そうならないために、何をすべきなのか、それを伝えているのだ。
「あらゆる段階において創造される形態はすべて、左手の道に限定されるか、それを含みながらも、それを超えて右手の道を辿っているかのどちらかである。・・・すべての形態が、それらが右手の道を辿っていようと、左手の道を辿っていようと、ある点まで似ているということを銘記すべきである。それは同じ段階を経て発達し、そしてその行程のある地点では、同じか同類であるかのように見える。」(上p315-316)
だからこそ、方向付けが必要なのである。
以下は、多くの私たちにとって、非常に重要な教えである。
熱誠家は、
・自分の想念形態を出現させ、アイディアを顕現させたいという情緒的な欲求に夢中になっている。
・伝統的な仕事のやり方を守ることと物質界での活動に多くの時間を費やしている。
・自分が創造した形態に対する無執着を保って、ただ方向づける媒介として行動するのではなく、その形態と同一化することによって身をすり減らしている。
・もし責任があなたにある形態にあなたが埋没するならば、それはあなたに憑依し、あなたを支配するようになり、その形態はその存在目的を果たすことなく、支配要因になってしまうということを覚えておきなさい。
・形態が支配する時、次のような危険性が生まれる。
・形態が誤った方向に差し向けられ、左手の道を辿り、物質の力を増大させ、敏感な魂を拘束する力を強めるという危険性が。
(上p318)
どうすれば良いのか。
「想念形態をメンタル界から方向付け、その到底の企てに注目を限定すること。そうすることで、正しい思いと正しい方向づけが正しい働きにつながり、左手の道に陥る危険が確実に避けられることを知りなさい。」(上p317)
「人の子らだけが右手の道の魔術と左手の道の魔術の違いを知っている。達成した時、この二つの道は消え去るであろう。人の子らが物質と質料の間に存在する違いを知ったとき、この時代の教訓は理解されるであろう。・・・・物質と質料はともに暗黒の道を作り出す。質料と目的が混ぜ合わされた時、それは光の道を指し示す。」(上p319)
規定9、8月後半 終わり
次はいよいよ、長い長い規定10に入る。