このイベント、リタイアを勝手にするわけにはいかない。
イベント本部に電話したら、スタッフと直接会ってやりとりしないといけないらしい。
23日午前4時前。電話した先はコールセンターだったが、ちゃんとスタッフから追って電話が入り、ルート上の最寄りの広場で待ち合わせることにした。
広場には、既に別のチームがリタイアのため、スタッフ待ちをしていた。
スタッフが車で登場。別のチームのリタイアメンバーを処理したが、本部からまだ連絡がないので、と私達のチームは電話待ちとのことだった。
早く出発したいので、ちょっとイラっとしたが、ちゃんとシステム化されているなぁ、と実は感心した。
電話が入り、リタイアの儀式。リストバンドに鋏を入れる。
これで、チームメンバー1人が解放された。
切ったバンドは、リーダーの持つパスポートにホチキスでとめる。
23日4:40、CP5大雄山最乗寺目指して、いよいよ登山道に入る。距離にして12Kmくらいか?越えていくピークは、火打石岳と明神ヶ岳(手前)。仙石原との標高差は約400m強。
明神ヶ岳の後は、一気に800mの下りが待っている。
ここから一気に登りが始まる。もはや恐れもせず、ただ登るだけ。
前日は、ちょっとペースが速かったから、今日は体力温存で自分のペースで行こう!
足は、恐ろしいほどに回復していた。まだ痛みは残っているが、ちょっとビックリ。
しかし、いつまでもつかな?
雨はすっかり上がっていたものの、あたりは靄がかかっていた。
山頂の朝日だけを楽しみにしていたのに・・・だけれども、ただひたすら登るだけ。
今日はいい天気になるらしい。多分すごく暑くなるだろう。
最初の傾斜を登りきると、比較的歩きやすくなった。雨上がりの朝の澄み渡った空気を感じながら、なりやまぬ鳥のさえずりを楽しんだ。靄の向こうに既に高く上がった太陽がぼんやりと見える。まだ6時前なのに!
知らぬ間に火打石岳を通り過ぎていた。靄も晴れ、陽の光が次第に強くなってきた。
明神ヶ岳へ向かう最後の急坂をよじ登った!!!
そこに待っていたものは、筆舌に尽くしがたい。これ!
あぁ、これだから辞められない。これは山の上でしか見れないのだ。
携帯で撮ったのだけど、まぁまぁかな。。
この場所からほどなく歩いていくと、おじさん達が数名いた。明神ヶ岳ピークの少し手前だが、ここを左へ曲がる。道案内をしてくれているのだ。朝7:00である。
すこし向こうに、テントが見えた。おじさん達は、夜通し道案内をしていたのだ。
昨夜は、結構雨が降っただろうに。有難い。
“ここからは、下りだけですよ!”
その通り、延々と続く下りが待っていた。本当に下りだけだった。
前日の雨でぬかるみもかなりあり、歩き難かったけど、逆にクッションにもなるのかな、なんて思いながらひたすら下る。しばらくは平静を保ち下っていくのだが、次第に飽き飽きしてくる。まだ下るの!?
途中、走りながら追い越していくチームの人に、走った方が膝へのダメージが少ない、と聞き、あまり急でないところでは、小走りする技も試みた。なかなかイケル!
そうでもしていないと、長い下りは飽きるのだ。
トレーニングのおかげか、イチロー御用達機能タイツCW-Xのおかげか、なんとか膝が笑わずに下ることができた。
23日8:30、CP5大雄山最乗寺に到着。晴天。美しい朝である。
累積距離54Km。まだ、半分を過ぎたばかり。
ここには仮眠スペースがあり、まだ寝ている人々が大勢いた。
きれいなお寺の集会場で、トイレも室内で、靴も脱いでなんとなくほっとした。
さすがに、足の痛みが復活したが、後続を待つ間、足首をぐるぐる回し、ふくらはぎのマッサージを続けた。
23日10:00、CP5を出発。やはり皆膝にきていたようで、長く休憩をとった。
CP6の矢倉沢公民館までは9.5km。標高差200m程度登って下るだけ。
比較的楽なステージのはず。
しかし、真っ青な青空に日差しは強く、おまけにほぼ全路コンクリートの林道だった。
気持ちが、ダレる。
もはや、私達は最後の方である。まだ追い越していくチームがいるのに驚いた。
皆口数は少なく、だらだらと、コンクリートの道を歩いていった。
陽は真上から照らし、暑かった。
やっと、やっと、ハイキング道の入り口だ。登るのかと思っていたら、どうやら下りらしい。と、いうことは、最高点を過ぎたのか?
ここで休憩。後続を待っている間に靴を脱ぎ、靴下の上から足をマッサージした。
5分くらいマッサージを続けただろうか。気持ちよい。
チームメンバーが合流し、ハイキング道を歩き始めた。
すると、な、なんと、足は復活し、妙に元気になっていたのだ。
そして気づいた。私の膝も腿もやられていないのだ!
問題は、足首から下だけ!!
しかも、マッサージすればある程度復活できるのだ!!
高く伸びきった杉林のその上は、真っ青な空だ。
森を抜ければ、痛いような日差しが待っている。
そろそろ正午を迎える。
“これはもしかすると行けるかもしれない?!”
密かに心が躍った。
森から矢倉沢の村に出た。炎天下。にもかかわらず、道案内の地域のボランティアスタッフのおじさん達が、“お疲れ様!そこがPC6です。ヤキソバがありますよ!”と声をかけてくれる。
炎天下である。いつ来るともわからない参加者を待っているのである。有難い。
23日12:30、CP6に到着。累積距離63.5Km。
あまり日陰のないなか、思ったより大勢の参加者がそこにいた。嬉しいことに、塩やきそば、モズクスープ、手作りおにぎりがあった。そして、夏みかんも!!おいしい!
コンビニおにぎりに食べ飽き、スポーツ栄養食も何ももう口にいれたい気分ではなかった。
すごく嬉しかった。
ここは、中々のチェックポイントだ。矢倉沢のおばさま方に感謝、感謝、感謝♪
ランチを済ませ、靴を脱いで足マッサージをする。
次はいよいよCP7。16kmの道のり。だいたい真ん中辺りにあるピークは標高差500m弱ではあるが、比較的なだらかのよう。
CP7は、温泉もあり、保健室もあるらしい。最後の山越え前のチェックポイントなので、サポートも充実しているとのこと。
そこまでは行けるはず。
いや、もしかするとゴールまで行けるかもしれない!
23日13:15、少々希望をいだきながらCP6を後にした。
ゴールまで、あと36.5Km。
・・・to be continued.