珍しく朝から夜まで外でのアポでいっぱいに詰まっていた今日。
雨が降る予報となっていたことを知らず、傘など持たずにあわただしく家を出た。
アポとアポの間に次第に雨が強くなるのを知りつつも、駅に地下道にと渡り歩き、なんとか最後のアポの駅に降り立った。外はもう真っ暗だ。雨に濡れるのが決して嫌ではない私でも、さすがに傘なしでは、先方に迷惑!と思うほどのどしゃぶりとなっていた。
駅前にはコンビニが見当たらなかったが、近くの書店に傘が見えた。
ほぅ、近頃のビニ傘は、木の柄などがついている。
すぐにこれ!に決めたのだが、色は、ピンク、黄色、水色、紺しかなかった。
いつも、シックの色を好む私には、どれもご不満だ。
紺にしようかと思ったが、木の柄には、ちとMen'sっぽ過ぎる。
仕方なく黄色を選んだ。
どしゃぶりの中、急いで先方に向かいながら、頭上を明るくする黄色も悪くないな、と思った。
超忙しの一日の予定を全てこなし、弱まらないどしゃぶりの雨の中をいくらかホッとしながら歩く。黄色い傘は、駅までの暗い寂れた道をほのかに明るくする。
やっとJRに乗り込み、まじまじと傘を見る。
レモン色とクリーム色の中間のようなこの黄色が妙に素敵な色であることに気づく。
ビニ傘にしては、おしゃれな色だな。
何か得した気分になった。
乗り換えて地下鉄を待つ。ホームのガラスに映る黒づくめの自分に、白っぽく見える傘が妙に映えた。何か嬉しくなった。黄色い傘など、幼稚園以来かもしれない。
地下鉄を降り、相変わらず激しく降る雨の中、傘を見上げながらの帰路。足取りは軽かった。
雨が落ちてくる真っ黒な夜空を背景に、首都高の白い灯りを受けながら、おしゃれな黄色は美しく発色していた。ちょっと幸せを感じた。