昨年暮れ頃、本屋さんのレジの前で見つけて、読まなきゃ!と思ったのに、買わなかった。
先日、銀座で時間つぶしをするために本屋さん立ち寄った時、何故か立ち止まった通路の目の前に平積みになっていた。これは、お告げだ!と思って、迷わず買った。
安部司 「食品の裏側」 東洋経済新報社
かつて、食品添加物の会社に勤めていた著者の実体験をもとに、楽しく繰り広げられる食品添加物の話。
読み易く、でも、食品添加物のすごさ、というか、食品製造のすごさに驚嘆しながら、一気に読んでしまった。添加物の名前が沢山でてはくるが、難しいことは無く、読み物としても十分面白い!!
消費者全員が読むべき本だと思っている。
しかし、これは決して暴露本ではない。
食品添加物の良さも悪さも誰よりかも知っているからこそ伝えられる著者の愛のメッセージなのだ!
添加物を悪者にばかりしても意味がない。それよりも、情報開示の必要性を説いている。
食品添加物は、基本的には表示されている。でも、私たち消費者の多くは、それがどういうものだか知らない。
添加物をむやみに排除すべき!と言っているのではなく、食べているものがどういうものかまず知ることが大切であることを説いている。それによって、消費者は自ら、ライフスタイルにあわせて、食品を選択していける。結局、私たちの多くは、添加物なしでは生活できなくらいのライフスタイルを送っているから。
それからまた、添加物の使用が増加の一途をたどっているのは、製造業者だけが悪いのではない、とフェアに指摘。安さや見た目、便利さだけを追求している多くの消費者も、添加物使用の片棒を担いでいると言う。
身につまされる。
食育との関係も指摘、提言している。
健康や環境面から見れば、どんどんおかしくなっている現代の私たちの社会、そして、ライフスタイル。からだや環境に「危険だ!」と煽ってみても何も解決につながらない。
情報普及の必要性を説き、そして、便利さ、安さを追求している私たち自身の姿勢を鋭く指摘することによって、現代の社会やライフスタイルを、どのように改善していくか、前向きなアプローチで、私たちに問題を投げかける素晴しい本である。
選択するのは、私たちなのである。
必ず読んで下さい。