雨の中、六本木通りの横断歩道を渡ろうと、信号を待っていた。
車のライトが雨を切って過ぎていく。
自分が本当に、本当にやりたい事は何だろうか?
本当に、本当に、本当に、やりたい事は?
とっても、とっても、とっても欲しいものは?
そう、自問していた。
時間もお金も何も制限が無いとして、何でも好きな事やっていいとして。
自分が本当に、本当に、本当にやりたい事は何?
本当に、本当に、本当に欲しいものは何?
でも、答えが出なかった。
これまで結構好きに生きてきて、ここ数年は、仕事も好きな事しかやっていない。
そうやっていられるのは、制限も障害も極めて少ない自分の贅沢な立場のお陰なのだが。
脱サラして、まだ発展途上なのだけど、自分が思うものを作り上げようと独立した。
まだ出来上がっていないので、なんとも言えないけど、植物療法をベースにしてやろうとしている事は、とっても好きな事の一つだし、自分にとって、多分社会にとっても意味のあることだと信じている。
ところが、私の師匠は、
「それは、君の頭で考えていることだろう・・・」
と、なんとも消化不良になるセンテンスを投げる。
私がやろうとしていることを、駄目、とか言っているのではなく、ただ、そう言うのだ。
こんなに強い思いがあったからこそ、大好きだった業界での大好きな仕事を放り投げて、それを作り上げようと思っているのに!!師匠の言葉に、少々、反発を覚えた。
そう言われて、一年が立った。
やりたい事は何?と、聞かれれば、もちろん、今作り上げようとしている事だと答えるだろう。
でも、本当に、本当に、本当に、本当にやりたい事は何?
と、聞かれると、同じ答えが返ってこない。
信号を待ちながら、“本当に”を数回繰り返して何度も自問してみても、同じ答えが返ってこなかった。
初めて、師匠の言葉が分かったような気がした。